分かりやすく書く: “Style – Lessons in Clarity and Grace”

この本は、前にこのブログで紹介を書いた “The Elements of Style” と一緒に、社内のTech Writerの人に薦めてもらった本です。

(注) このエントリーに書くのは、本のLesson 3 : Actions (20ページ程度)に書いてある内容です(そこまでしか読んでないので…)。

この章では、まず以下の2つの文を比べて、(1b)の方が clear, direct, conciseという「良い文」の要件を満たしていると述べています。

(1a) The cause of our schools’ failure at teaching basic skills is not understanding the influence of cultural background on learning.

(1b) Our schools have failed to teach basic skills because they do not understand how cultural background influences the way a child learns.

確かに、読めば(1a)も意味はわかりますが、(1b)と比べると、意味がスッと頭に入ってきませんね。

なぜ(1b)が分かりやすいか、逆にいえばなぜ(1a)は良くないのかを、この本では、characterとactionという考え方で説明します。と書くと、何か難しそうに聞こえますが、話は簡単で、characterは文の主体となる人・モノ、actionはそのキャラクターが行う動作です。

例えば、上の文では、学校(schools)がcharacterで、その学校が教えるのに失敗する(fail to teach)というのがactionです。この時、分かりやすい文章のルールは、「文の主語がcharacterと一致し、動詞がactionと一致する」というものです。とてもシンプルですね。

上の例で見てみると、(1a)は “The cause of our schools’ failure at teaching basic skills” が主語(となる名詞節)で、動詞は “is” なので、上のルールに沿っていません。一方、(1b)は “Our schools” が主語、”have failed to teach” が動詞なので、それぞれcharacterとactionと一致していることが分かります。

さらに (1a)は目的語の部分が “not understanding the influence of cultural background on learning”となっていて、ここにもunderstandというactionが動詞でない形で埋め込まれています。(1b)では、それを they という主語を補いつつ、”not understanding” を “do not understand”という動詞に変換しています。

この書き換えにより1つの文が2つに分かれたので、becauseを使って明示的にその関係を示します。このように、becauseのような接続詞を使ったほうが、”The cause of.. is” で因果関係を書くより読みやすくなります。

(上と同様のことを influenceについても行っていますが省略)

この基本が分かったところで、「悪い文」をどのように見つけるかのポイントについても述べられています。一つは、抽象的な名詞が主語になっている場合 (上の例では、”cause”)、もう一つは、主語となる節が長過ぎる(7〜8単語以上)場合です。このような場合は、上の「よい文のルール」が破られていることが多いので、characterとactionを見つけて、それらが主語、動詞と一致していなかったら、一致するように書き換える、という作業をすると読みやすい文に生まれ変わる、というわけです。

といったわけで、20ページ読んだだけでもなかなか良い本だなという感じなのですが、問題は値段がamazon.co.jpで7000円することです。ちなみに、amazon.comでも53 USDなのでamazon.co.jpがぼったくっているというほどでもありません。なんでこんなに高いんですかね…

シンプルに書く: “The Elements of Style”

数年前、会社でTech Writerというテクニカルな文書を書く専門家の人に、自分の英作文を添削してもらう機会があった。その時、英語のwritingの勉強のための本として教えてもらったのが、この “The Elements of Style” という本。長らく放置されてあった本をようやく読んでみた。

この本のオリジナルは、Cornel大学のクラスのテキストだったらしく、少なくとも1919年(!)には存在したものらしい。

第1章は文法の話で、itsとit’sを間違えるなとか、そんなことを大学で教えるのか?という話や、大学受験で勉強したから知っている分詞構文の話とかが載っている。その一方で、コンマ(,)、セミコロン(;)、コロン(:)、ハイフン(–)の使い分けは、よく知らなかったので参考になった。

例えば、コロン(:)のルールは

7. Use a colon after an independent clause to introduce a list of particulars, an appositive, an amplification, or an illustrative quotation.

となっていて、

(誤) Your dedicated whittler requires: a knife, a piece of wood, and a back porch.

(正) Your dedicated whittler requires three props: a knife, a piece of wood, and a back porch.

という感じ。

続く第2章は、作文の基本原則がまとめられている。個人的には、この章が一番参考になった。いくつかのルールは、簡潔な文を書くことを勧めている。例えば、

14. Use the active voice.

(非推奨) There were a great number of dead leaves lying on the ground.

(推奨) Dead leaves covered the ground.

とか、

15. Put statements in positive form

(非推奨) She didn’t think that studying Latin was a sensible way to use one’s time.

(推奨) She thought the study of Latin a waste of time.

更には、

17. Omit needless words

(非推奨) in a hasty manner

(推奨) hastily

などなど。確かに、nativeな人の文章は簡潔に書かれていることが多い気がするので、話し言葉のようにだらだらと書かないように気をつけたい。その為には、単語力が必要なんだろうなという気もしている。

2章を読むだけなら20ページもないので、一読の価値がある気がします。しかも、Kindle版は今ならなんと203円です 🙂


英語でメールを書く時に気をつけていること

英語でメールの返事を書くときは、常に”Thanks for”で書き始めるくらいがいいんじゃないかと思っています。「ありがとう」は、世界共通で感じがよいので。

情報共有系のメールだったら

Thanks for sharing.

とか言っておけばよいし、ステータスアップデートだったら、

Thanks for the update.

知らないひとから問い合わせがあったときは、

Thanks for reaching out.

ちょっと難しい質問や疑問でも、

Thanks for asking!

こちらの問題点に対する指摘だったら、

Thanks for raising this.

とか

Thanks for pointing it out.

メールのスレッドに、話がいろいろ進んであとで追加されたら、

Thanks for looping me in.

なんかよく分からないけど、とりあえず返事が来たときは、

Thanks for the reply.

とか

Thanks for getting back to me.

 

もちろん、これで仕事がうまくいくかは保証しません。